東城戸町自治会

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NARA City Higashi jodo cho

春日講

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「ならまち歳時記~1月~奈良町の正月行事 春日講」より

奈良を代表する信仰行事である春日講(かすがこう しゅんにちこう)は、奈良町や周辺の農村で行われた行事で、決まった日に町の会所などに集まり、春日社の神様を描いた春日曼荼羅(かすがまんだら)や鹿曼荼羅(しかまんだら)などをお祭りし、春日社に詣でて神楽(かぐら)を奉納するものです。特に正月は、町中そろって春日社へ初詣に行き、その後町内一同で祝宴を開くなど盛大に行われました。そのときには、新しく住民になった人の祝儀を披露することもあり、住民の結束を深める場としても大切な行事でした。

春日講が行われるとき、祭壇にかけられたのは春日信仰を具体的にあらわした春日曼荼羅です。主に春日野と社殿、春日山を描いた春日宮曼荼羅と、春日の神様が鹿に乗ってきたという由来にもとづき、背中に鞍をつけ、その上に榊を立てた鹿を春日野の風景の中に描いた春日鹿曼荼羅です。
 今回は、奈良の町に伝わり、町の人々が大切に祭ってきた春日曼荼羅を写真パネルで展示します。

 江戸時代の春日講の年初めの会は、正月21日に開かれました。この日には、春日の神様をお祭りするだけでなく、新しく町の住人となった人が町民に紹介される重要な場でもあり、また、子供の誕生や結婚、家の代替わり、還暦、春日講の世話役である年預(ねんよ)になった祝いなど、いろいろな祝儀(お祝い事)を町民に披露し、そのお祝い事を町民みんなで共有する日でもありました。

奈良国立博物館 2012 特別陳列「おん祭りと春日信仰の美術」P71より

春日宮曼荼羅
絹本著色
縦96.0 横40.8
室町~江戸時代(16~17世紀)
春日社の景観を、東を上方として俯瞰的に描く春日宮曼荼羅の一
つで、上方に浮かぶ円相中には、本殿一宮から四宮から若宮の本地仏
五尊が描かれている。
丁寧に描かれた本図は奈良市東城戸町所蔵品で、年に一度町内で
春日講を行う際に懸け用いられている。奈良市内では現代にいたるま
で、このような地域単位での春日講が他所でも伝統的に続けられて
おり、この伝統は中世にまで遡り得る。春日曼荼羅については、春
日社まで参詣することの出来ない京の貴族が参詣の代わりに懸けて
礼拝したという文献資料が、その機能を示す古い記録としてよく知
られてるが、連綿と続く春日講における礼拝対象としての機能も
忘れ難く、重要である。               (北澤)